東方管弦組曲 其の弐 《幻奏交響楽》, Op. 10

楽曲情報:

I. プリズムリバー・コンチェルティーノ 嬰ハ短調 / C#-Minor / cis-moll約4分15秒
II. 紅の上海娘 嬰ヘ短調 / F#-Minor / fis-moll約4分半
III. 氷精たちの踊り 変イ長調 / Ab-Major / As-Dur約6分15秒
IV. いたずらうさぎの籠破り ハ短調 / C-Minor / c-moll約3分45秒
V. 千年幻奏交響楽 嬰ト短調 / G#-Minor / gis-moll約7分

編成:

FluteI, II
Piccolo 
OboeI, II
Clarinet in A, BbI, II
BassoonI, II
  
Horn in FI, II, III, IV
Trumpet in BbI, II
Tenor TromboneI, II
Bass Trombone 
Bass Tuba 
  
Timpani(5 kettles)
Triangle 
Tambourine 
Cowbell 
Snare Drum 
Suspended Cymbal 
Tam-tam 
Cymbals 
Bass Drum 
  
Piano 
  
ViolinsI, II
Violas 
Violoncellos 
Contrabasses 

音源:

I. プリズムリバー
 ・コンチェルティーノ
[BIG UP!]
II. 紅の上海娘 [BIG UP!]
III. 氷精たちの踊り [BIG UP!]
IV. いたずらうさぎの籠破り [BIG UP!]
V. 千年幻奏交響楽 [BIG UP!]

楽譜:

全曲

動画:

動画に使用しているイラストは、以下の方からお借りしました。イラストの著作権は全て製作者様に所属します。

タイトル入れや構成に関する助言など、友人のしらは君には動画制作に様々な形で協力していただきました。ありがとう。

コメント:

東方楽曲オーケストラアレンジによる組曲の第2弾を作りました。前作よりクラシックの要素が多少強くなっていますが、1曲を除き原曲重視のコンセプトは変わっていません。全5曲、演奏時間は26分程度です。

 

1曲目は「東方妖々夢」ステージ4ボス、プリズムリバー三姉妹のテーマ曲である「幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble」です。原曲は「A(4楽段)- B(2楽段)- C(2楽段)- A'(3楽段)」(1楽段は8小節単位)という構成をしています。アレンジではA, A'部を適宜省略しつつこれを2周させ、序奏を追加しています。プリズムリバー三姉妹になぞらえてバイオリン・トランペット・ピアノのソリスト3人とオーケストラを対比させ、三重協奏曲風に仕上げました。

序奏は遅いテンポでA部の主題の最初3音を繰り返します。トゥッティ→ソリスト3人→強奏のトゥッティと移り変わり、いったん休止します。

A部は3楽段に短縮しています。第1楽段はソリスト3人によって主題が提示され、その後2楽段分、トゥッティによって確保されます。ここでメロディは1小節ごとに2つのパートに振り分けられ、互いに掛け合いながら演奏されます。また、第3楽段ではクラリネット、ホルンとピアノに対旋律が現れます。

B部は原曲通り2楽段からなり、ホ短調に転調します。ソリスト3人→トゥッティの順で主題が現れます。第2楽段のトゥッティではベースラインを原曲のものとは異なったものにしています。

C部では調が半音上がってヘ短調となり、2楽段とも強奏のトゥッティによって演奏されます。ここのコード進行は原曲ではB部のものと同一ですが、アレンジでは変更を加えています。

一通り音楽が盛り上がって最強奏に達するとサスペンデッド・シンバルの音とともに昇華し、急激に音量を落としてA'部が嬰ハ短調で2楽段分現れます。ここはピアノソロ中心→ソリスト3人中心という構成をとっていて、木管やバイオリンピチカートの和音が彩りを添えます。

2周目のA部は更に短縮され、2楽段分演奏されます。第1楽段は比較的音量を落としたトゥッティで対旋律を伴って奏され、第2楽段では対旋律をストレッタで展開させながら転調していきます。1周目にあった主題の振り分けはなくなっています。

B部でト短調に至り、金管の強奏によって主題がコラール風に歌われます。ここのコードも原曲と異なったものとなっています。第2楽段では突如音量を落とします。バイオリンソロが主題を奏で、ピアノソロが対旋律を提示します。

C部は再び強奏に戻り、嬰ト短調へ転調します。ホルンが主題を担当し、先程B部で現れた対旋律を木管全員が歌います。やはりここのコードも原曲から変更しています。第2楽段は更に嬰ハ短調へと転調し、最強奏でトゥッティによって奏されます。最後にA部が1楽段分回帰し、最強奏のまま曲を終わります。

 

2曲目は「東方紅魔郷」ステージ3の道中曲、「上海紅茶館 ~ Chinese Tea」です。

原曲は「A(3楽段)- B - A' - A(4楽段)- Bからループ」という構成をしています。アレンジでは適宜Aの部分を削りつつ2周させています。

曲は弱奏の弦楽器で開始します。フルートの3連符がこれに彩りを添えます。第2楽段では強奏となり、木管とバイオリンがメロディを演奏します。第3楽段になるとメロディは木管・トランペットとビオラ・チェロに受け継がれ、フルートとバイオリンは第1楽段の3連符を添えます。

B部は弦楽器の伴奏の上で木管楽器が次々にメロディを受け渡します。具体的にはフルート→オーボエ→クラリネット→フルートとなります。ビオラとファゴットがこれに合いの手を挟みます。

A'部は若干テンポを落として弱奏で演奏されます。弦がメロディ、木管が対旋律を担当します。

2周目のA部はテンポを戻し、強奏で始まります。第2楽段からは嬰ニ短調に転調し、メロディがファゴットとホルン、反行形による対旋律が他の木管に現れます。第3楽段ではトランペットがメロディの反行形を勇壮に奏でます。

叩きシンバルのロールに導かれて音楽はハ短調でB部に突入します。ここは強弱を交替しつつ弦楽器主体で進行し、木管が適宜A部主題の反行形による対旋律を挿入します。調は4小節ごとにハ短調→ヘ短調→変ロ短調→嬰ト短調と目まぐるしく変わります。

一旦の全休を挟んだのち、A'部は嬰ヘ短調で、テンポを大幅に落として始まります。ここは2楽段に拡張され、それぞれ違った和音の上に旋律が重ねられます。第1楽段ではホルンがメロディでファゴットが対旋律、第2楽段では対旋律のみが残り、弦と木管によって奏でられます。最後は拡張され、大きくクレッシェンドして最強奏に至ります。

ラストはA部, A'部と演奏され、最強奏の盛り上がりのまま曲を終わります。

 

3曲目は「東方紅魔郷」ステージ2ボス、チルノのテーマ曲である「おてんば恋娘」です。これはアレンジというよりは「おてんば恋娘の主題によるワルツ」といった趣で、変イ長調3/4拍子と原曲とは全く違った仕上がりになっています。全体の構成は「イントロ - A - B - A' - 推移 - C - D - C' - A''(フーガ)- B' - D' - Aによるコーダ」といった感じです。

イントロでは、チャイコフスキーの組曲「白鳥の湖」からワルツの冒頭がそのまま引用されます。ただし調は半音下げて変イ長調となっています。

A部は32小節で「a - b - a' - c」という構造をしています。aは第1バイオリン、bは第2バイオリン、a'とcはクラリネット・第1バイオリンとビオラがメロディを奏でます。

B部は変ホ短調となり、16小節の旋律が2回演奏されます。最初は弱奏でフルート・オーボエ・ピッコロによって、2回目は全楽の強奏によって歌われます。

A'部では変イ長調に戻り、楽器を拡張してA部の旋律が還ってきます。c部分はA部から変化しており、カデンツを形成して一旦終止します。

木管による4小節の推移を経て、ヘ長調で中間部が開始します。C部の主題はA部のものの変形で、弦+金管と木管が交替しつつ演奏します。16小節が2回繰り返され、2回目はエコーとなっています。

D部はニ短調でこれまたA部の主題の変形ですが、関連はかなり薄くなっています。最初16小節はトランペットとビオラ・チェロによって哀愁を帯びたメロディが奏でられ、次の16小節で楽器を増やして盛り上がりつつヘ長調に戻ります。

C'部はC部と楽器構成が異なっています。管楽器対弦ピチカートという構図になっていて、旋律の最後は拡張されてカデンツを形成します。

A''ではA部主題の変形によるフーガが形作られます。ハ短調とト短調を交替しながら、1楽段ごとにオーボエ→フルート→クラリネット→ファゴットの順で加わっていきます。短い推移を経てニ短調となり、今度はフーガ主題が弦楽器とホルンに強奏で現れます。その後楽器を交代しつつハ長調→変ロ長調→変ホ長調→変イ長調と転調を繰り返して最強奏のコラールに至ります。

小休止を挟んだのち、B部がそのままの形で還ってきます。強奏になってからは変化していき、ヘ短調となってD'部に入ります。ここはD部より楽器数を増やして情熱的に歌われます。

最後の転調で変イ長調に至り、A部を基にしたコーダが現れます。一通り強奏で主題を演奏するとテンポと音量が増していき、最強奏で歓喜に満ちたフィナーレが形作られます。

 

4曲目は「東方永夜抄」ステージ5の道中曲、「シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome」です。

原曲は「A - 推移 - B(2回)- A'(2回)- B' - B - A'' - B''」という構成をしています。今回のアレンジは主部を1周のみとし、最後にAを基にしたコーダを加えました。いたずらうさぎのイメージを出すために、突然音量が変わる部分を設けたり、メロディと伴奏で異なるリズムを演奏させたりしています。また、全体に浮遊感を出すため、弦楽合奏からコントラバスを除いています。

初めのA部は原曲では「かごめかごめ」の後半部分のみが演奏されますが、アレンジではフルコーラスと差し替え、12小節としました。弱奏のピッコロと3/4拍子を刻む打楽器で始まり、途中でフルートも加わります。

推移部では弦楽器の保続低音に乗って木管楽器が16分音符の速い楽句を奏でます。

B部は16小節のメロディが2回繰り返されます。始めはオーボエ、ホルンとバイオリンが、2回目はクラリネット、トランペットと弦楽器全体がメロディを担当します。

A'部は変ホ短調に転調します。原曲では「かごめかごめ」の後半部分2回となっていますが、アレンジではフルコーラス1回としました。バイオリンがピチカートでメロディを演奏し、木管と一部の打楽器が3/4拍子で伴奏します。

B'部は引き続き変ホ短調で、弱奏で演奏されます。木管楽器がメロディを、バイオリンのピチカートが「かごめかごめ」を担当します。3/4拍子は打楽器に残ります。

3回目のB部は突然音量が増し、管楽器のトゥッティで始まります。金管がメロディ、木管が「かごめかごめ」を奏で、4小節目からはメロディの反行形が弦楽器に現れます。

A''部には音量そのままに嬰ハ短調で突っ込みます。弦楽器のトレモロによって「かごめかごめ」が勢いよく歌われます。打楽器の3/8のリズムがこの勢いに拍車をかけます。

「かごめかごめ」の後半からはB部のメロディが現れ、B''部となります。オーボエ、クラリネットとホルンがメロディを、ピッコロ、フルートとトランペットが反行形の対旋律を担当します。

メロディが終わると突如音量が落ち、ハ短調でピッコロが「かごめかごめ」を歌います。そのまま消え入るようにして音楽は終わります。

 

ラストは「東方永夜抄」ステージ6Aボス、八意 永琳のテーマ曲である「千年幻想郷 ~ History of the Moon」です。原曲は「イントロ - A(2回)- A'(2回)- B - 推移 - C(2回)- C'(2回)- D - C''」という形をしています。本アレンジではこの形を保ちつつ、A・C二つの主題を持つソナタ形式にしてみました。第1主題再現の直後に展開部が挿入されるので、ブラームスの交響曲第1番第4楽章と同じ形です。

曲は原曲のイントロの音形をモチーフとした序奏で始まります。全奏で楽曲の導入を形作るとテンポを速めて原曲のイントロ部分に入ります。叩きシンバルのロールが緊張感を高め、高揚した雰囲気で主部につながります。

提示部第1主題は嬰ト短調で原曲のA部分が演奏されます。3楽段繰り返されますが、最初は金管と弦、その後最強奏の全奏、3楽段目は木管と楽器が移り変わります。

推移部は原曲のBと推移部分を用いています。B部は弦楽器が交代しつつメロディを形成し、推移部分は銅鑼の一発に乗って木管・ピアノ・中低弦が早い16分のパッセージを奏でます。

6発の打撃音で音楽が一旦休止すると、ホ短調に転調して第2主題が提示されます。これは原曲のC部を用いています。こちらも第1主題と同じく3楽段分演奏されます。最初はオーボエとファゴットのメロディにピッコロ・フルート・クラリネットの合の手、第2楽段はフルート・ファゴットと第1バイオリン・チェロのメロディにピッコロ・オーボエと第2バイオリンの合の手、さらにクラリネット・ホルンとビオラの対旋律という構造になっています。第3楽段はヘ短調に転調し、全奏の最強奏でメロディと対旋律が奏されます。

続いて原曲の発狂ピアノ部分(D部)が弦楽器によって演奏されます。ここはニ短調となっています。第2楽段からは管楽器に第2主題とその対旋律が現れます。

終わりにかけてクレシェンドしていくと突如音量が落ち、原曲のイントロ部分の再現が始まります。音楽はすぐに強奏に戻り、ここから第1主題の1楽段までが忠実に再現されます。

カデンツを変更して楽器を交代しつつイ短調に至ると短い展開部が始まります。まずは木管に第1主題が現れます。次にイントロ音形と推移部音形を用いた短い推移が挿入され、ホルンによる第1主題のファンファーレが最強奏で鳴り響きます。これはホ長調から始まって嬰ヘ短調に至ります。さらに推移部音形を用いて嬰ヘ短調→嬰イ短調→ヘ短調と転調を繰り返し、音量を増しつつ半音ずつ音を上げて、最終的に強奏の嬰ト短調属和音に至ります。

和音が半終止で解決すると同時に音楽は弱奏となり、第2主題の再現が嬰ト短調で行われます。1楽段目はピアノの旋律にオーボエの合の手、次はフルート・オーボエの旋律にピッコロとピアノの合の手、さらにチェロの対旋律となっています。提示部では3楽段目に転調していましたが、再現では嬰ト短調のままで、3楽段・4楽段と強奏・最強奏の全奏によって旋律と対旋律が奏でられます。これが終わると急激に音量を落とし、弦楽器が嬰ハ短調の属和音を導いて全休となります。

コーダはアダージョとなり、先ほどの和音を引き継いで嬰ハ短調で開始されます。チェロがイントロ音形を繰り返す上でホルンが第1主題の動機を静かに吹奏します。9小節目からはイントロ音形が中高弦に移り、管楽器が第1主題動機を交替で演奏します。転調を繰り返しつつ音楽は次第に盛り上がっていき、最後は変イ長調最強奏の圧倒的な神々しさの中で第1主題動機が奏でられ、組曲を終えます。

作成:

2008/04/04 III. 氷精たちの踊り 完成
2008/05/07 I. プリズムリバー・コンチェルティーノ 完成
2008/06/16 II. 紅の上海娘 完成
2008/07/02 IV. いたずらうさぎの籠破り 完成
2008/07/22 V. 千年幻奏交響楽 完成
2008/11/04 楽譜作成開始
2009/04/11 楽譜完成

初演:

2013/06/23 幻想郷交響楽団 演奏会(II. 紅の上海娘 のみ)

備考:

原作者:ZUN(上海アリス幻樂団

音圧の増強には、こちらにあるTLs-Pocket Limiter v1-2を使用しています。

著作権表示:

本作品のMIDIデータの作成にはFinaleのHuman Playbackを使用しています。
本作品の録音データの作成にはGarritan Personal Orchestraを使用しています。
本作品の楽譜データの作成にはFinaleを使用しています。
 
[Creative Commons License]
[東方管弦組曲 其の弐 《幻奏交響楽》, Op. 10] by Virus Key is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 2.1 Japan License.
※ 上記CCライセンスの適用は、原作者の意向に反しない範囲での利用に限ります。
[Digital Square]
Since 1999/07/04 更新履歴
管理人:Virus Key (Twitter)
[Mail]
©1999-2018 Virus Key (Digital Square)