東方管弦組曲 其の肆 《劇伴幻想郷》, Op. 16

楽曲情報:

I. キャプテン・イン・ザ・テンペスト ニ短調 / D-Minor / d-moll約4分半
II. 白き太刀風 秋の滝 ロ短調 / B-Minor / h-moll約5分
III. 乱れさかづき鬼祭 ニ短調 / D-Minor / d-moll約5分15秒
IV. 雪鐘楼のインテルメッツォ ホ短調 / E-Minor / e-moll約3分
V. 幻想郷剋神戦争 ト短調 / G-Minor / g-moll約7分45秒
    
戦終わりて雨が降る 嬰ハ短調 / C#-Minor / cis-moll約1分15秒

編成:

FluteI, II
Piccolo 
OboeI, II
English Horn 
Clarinet in A, BbI, II
Clarinet in Eb 
Bass Clarinet in Bb(same player as Clarinet in Eb)
BassoonI, II, III
Double Bassoon(same player as Bassoon III)
  
Horn in FI, II, III, IV
TrumpetI, II, III
Tenor TromboneI, II
Bass Trombone 
Bass Tuba 
  
Timpani(4 kettles)
Xylophone 
Bells 
Triangle 
Tambourine 
Snare Drum 
Wind Machine 
Suspended Cymbal 
Tam-tam 
Cymbals 
Bass Drum 
  
ViolinsI, II
Violas 
Violoncellos 
Contrabasses 

音源:

I. キャプテン・イン
 ・ザ・テンペスト
[BIG UP!]
II. 白き太刀風 秋の滝 [BIG UP!]
III. 乱れさかづき鬼祭 [BIG UP!]
IV. 雪鐘楼のインテルメッツォ [BIG UP!]
V. 幻想郷剋神戦争 [BIG UP!]
戦終わりて雨が降る [BIG UP!]

楽譜:

I. - V.
戦終わりて雨が降る

動画:

動画に使用しているイラストは、以下の方からお借りしました。イラストの著作権は全て製作者様に所属します。

動画の作成にあたっては、友人のしらは君とその弟に協力していただきました。ありがとう。

コメント:

東方楽曲オーケストラアレンジによる組曲の第4弾です。原曲重視を心がけつつも、それぞれの曲に物語があるような編曲となっています。ただし3曲目は変奏曲という曲の性質上、原曲からかなり離れたものになりました。全5曲、演奏時間は26分程度です。

 

1曲目は「東方星蓮船」ステージ4ボス、村紗 水蜜のテーマ曲である「キャプテン・ムラサ」です。原曲は「イントロ - A - B - A' - B' - C - Aからループ」という形をしています。アレンジではイントロの後に主部を2周、さらにコーダを追加しました。終始アップテンポのまま、明るいも暗いもひっくるめて駆け抜けていきます。

イントロは主要動機を力強く3回繰り返して始まります。A部は対旋律を絡ませつつ全奏で力強く演奏され、B部は疾走感を保ったまま音量を落として転調していきます。A'部はホ短調に転調し、管楽器主体となります。B'部はB部と同様に経過句的です。C部は4楽節からなる長めの部分で、導入で一旦音量を落とし、次第に高揚しながら全奏による強奏に至ります。

2周目はB部の途中まで1周目と同一となっていますが、その先は少し変化し、A'部でロ短調になります。ここからは全体的に1周目よりも暗めのオーケストレーションになっていて、次第に緊張感を高めながら進んでいきます。C部は主調のニ短調で演奏され、波状に入る打楽器に急き立てられながらクライマックスを形成します。

コーダでは主要動機を繰り返し続けながら上昇していきます。最高音で属和音に至り、叩き切るように解決して曲を終わります。

 

2曲目は「東方風神録」ステージ3の道中曲、「フォールオブフォール ~ 秋めく滝」です。原曲は「A - A' - B - C - A' - B - C - C' - C''」という構成をしています。アレンジでは適宜繰り返しを省略しつつ2周+コーダとしました。原曲の疾走感を大事にした編曲となっています。

1周目は原曲の雰囲気に合わせたオーケストレーションとなっています。A部、A'部は対旋律を絡ませつつ軽く駆け抜けるように、B部は少しミステリアスな感じを出しつつ、C部は激しいながらも少しの切なさを持って演奏されます。そのあとは繰り返しを省略して嬰ト短調に転調し、アドリブ風味なC'部、全奏のC''部と続きます。カデンツを挟んで、イントロ音形によってロ短調に戻ると、2周目に入ります。

2周目A部は若干テンポを落とし、木管楽器中心にのどかな雰囲気で演奏されます。続くA'部は管楽全奏によってコラール調に歌われます。B'部はミステリアスな弦楽器で始まり、速度感を増しながら転調を繰り返していきます。頂点でバイオリンのみを残して消えさると、切なさを前面に押し出した形でC部が現れます。さらに強烈な導入とともに全奏でC部が繰り返され、カデンツでクライマックスを形成します。

ティンパニのフェルマータで小休止を挟み、速度を大幅に落としてC部動機によるコーダが演奏されます。弦と木管でメロディを受け渡し、静かに曲を終えます。

 

3曲目は「東方地霊殿」ステージ3ボス、星熊 勇儀のテーマ曲である「華のさかづき大江山」です。原曲はイントロ部分とメイン部分のみからなる繰り返しの多い構成なので、アレンジでは変奏曲風味に仕上げてみました。変奏ごとに曲調をころころと変えていますので、中間の部分は原曲とはかけ離れた印象となっています。

まずは原曲の雰囲気を保って華やかにテーマを提示します。テーマは先述の通り、イントロ部分とメイン部分(2回繰り返し)からなります。

第1変奏のイントロ部分は弦楽器によるフガートとなります。メイン部分の旋律は主題を16分音符で修飾したもので、テンポを幾分落として木管に現れます。繰り返し後はバス声部に旋律が移り、力強く演奏されます。

第2変奏はワルツとなります。イントロ部分は弦楽器中心、メイン部分1回目は木管楽器中心で進行し、再び弦楽器にメロディが返って一旦終止します。

第3変奏は3/8拍子のスケルツォ風です。慌ただしく駆け抜けるように演奏されると、即座にテンポを落として次に移行します。

第4変奏はまず、非常にのどかな雰囲気でイントロ部分が現れます。続くメイン部分では冒頭のテンポと華やかな雰囲気が回帰します。一旦音量を落として緊張感を高め、全奏でさらにメイン部分を2コーラス、高らかに歌い上げて曲を終わります。

 

4曲目は「東方妖々夢」ステージ5の道中曲、「東方妖々夢 ~ Ancient Temple」です。原曲の構成は「イントロ - A - A' - B - C - C'」となっています。アレンジは1周+コーダのみとし、構成は原曲に忠実に、曲調も原曲に近いものとしました。曲のドラマ性よりは音像を重視した、間奏曲的な位置付けとなっています。

イントロはピチカートと木管を中心に、寂れた雰囲気ながら推進力のある音楽が奏でられます。曲中しばしば挿入されるグリッサンドは、鐘の音とともにこの曲を象徴づける動機となっています。A部はバイオリンがメロディを奏でますが、伴奏は徹底的に薄くしてあり、寂しさの際立つ編曲となっています。A'からはフルートの対旋律が加わります。B部は経過句的な部分で、木管にメロディが移り、徐々に音量を増していきます。C部はヘ短調となり、弦楽器と管楽器が交代しながら強奏で旋律を歌いあげます。途中から音符が細かくなるとともにトランペットが加わって響きが豊かになりますが、すぐに音量は落ちていきます。C'部はニ短調となり、弱奏の金管コラールと木管の旋律が対置されます。第2楽節は全奏による強奏となり、ティンパニも加わってこの曲のクライマックスを形成します。

コーダはイントロの楽器編成を若干変更した形となっています。ホルンによる鐘の擬似音が繰り返し響き、途中からは実際の鐘もこれに加わります。弦楽器の参入で少し響きが豊かになりますがこれもすぐに消え、木管が下降音形によるカデンツを形成して曲を終わります。

 

ラストは「東方風神録」ステージ6ボス、八坂 神奈子のテーマ曲である「神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field」です。原曲は「イントロ - A - B - A' - C - D - A'' - Bからループ」という構成をしています。アレンジは主部を2周させ、かなり長大なイントロとコーダを追加しました。原曲の持つ圧倒的なカリスマ性を存分に生かした編曲となっています。

イントロは弦楽器のトレモロを背景にホルンによってD部の動機が提示されます。ト短調で開始された動機は繰り返されつつ転調していき、嬰ハ短調でA部に入ります。A部は全奏による強奏で、破壊的な雰囲気を伴って現れます。B部は3拍子となり、まずは弦全体による強奏、続いて管も加わって力強く演奏されます。A'部で再び破壊的な雰囲気が戻ったあと、嬰ヘ短調のC部に入ります。C部は一転和やかな曲調となり、木管中心に進んでいきますが、すぐに16分音符の連打によって断ち切られます。続いて華やかなD部がト短調で現れ、全奏による強奏で高らかに歌われます。A''部は変ホ短調となり、ウィンドマシーンによる効果も加わって劇的に進行します。

2周目B部は再び嬰ハ短調3拍子となり、今度はバイオリンのソロがメロディを奏でます。A'部は1周目より暗い雰囲気となり、金管がコラール風の旋律を受け渡します。最高潮で断絶を挟み、ロ短調でC部となります。1周目と同様に木管主体で進行し、今度は中断されずに嬰ヘ短調D部へ入ります。弦と木管によって情熱的に主題が歌われ、平和に解決するかと思われた直後、再び16分音符連打による断絶が立ち現れ、曲を主調のト短調へ押し上げます。全奏による最強奏で主題が2回、壮大に歌われ、圧倒的なクライマックスを迎えた後、弦楽器の主音トレモロの上で金管がカデンツを形成、主調長和音のフェルマータで全組曲を終えます。

 

「戦終わりて雨が降る」は、動画でエンディングテーマとして用いたピアノ小品です。「東方風神録」のスタッフロールテーマである「神は恵みの雨を降らす ~ Sylphid Dream」のアレンジとなっています。原曲は「A - B - B'」という形をしていますが、アレンジではB部からのみ使用しています。

曲はほぼ同様の和音進行を繰り返す3部分に分けられ、伴奏と強弱を変えつつ演奏されます。第1部は右手がメロディを奏で、左手が8分3連のアルペジオを担当します。第2部は第1部のエコーから始まりますが、後半和音が変化し、カデンツを形成します。第3部は弱奏となり左手がメロディ、右手が8分のオブリガートを担当します。曲はそのまま消え入るように進んでいき、長和音に至って終わります。

作成:

2009/07/11 III. 乱れさかづき鬼祭 完成
2009/09/20 II. 白き太刀風 秋の滝 完成
2009/11/08 IV. 雪鐘楼のインテルメッツォ 完成
2009/12/30 I. キャプテン・イン・ザ・テンペスト 完成
2010/02/28 V. 幻想郷剋神戦争 完成
2010/03/07 戦終わりて雨が降る 完成
2010/06/26 楽譜作成開始
2011/01/25 楽譜完成

備考:

原作者:ZUN(上海アリス幻樂団

音圧の増強にTLs-Pocket Limiter v1-2 (HP) とBuzMaxi 3 (HP) を使用しています。

著作権表示:

本作品のMIDIデータの作成にはFinaleのHuman Playbackを使用しています。
本作品の録音データの作成にはGarritan Personal Orchestraを使用しています。
本作品の楽譜データの作成にはFinaleを使用しています。
 
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