東方管弦組曲 其の参 《二重黒死調》 改訂第2版, Op. 13a

楽曲情報:

I. はやての記者天狗 イ短調 / A-Minor / a-moll約4分45秒
II. 想い闘え月夜の獅子 ト短調 / G-Minor / g-moll約4分半
III. 紅いペルソナ ホ短調 / E-Minor / e-moll約3分半
IV. 幻想郷のためのアダージョ ニ短調 / D-Minor / d-moll約6分半
V. 境界を超えろ イ短調 / A-Minor / a-moll約6分半

編成:

FluteI, II
Piccolo 
OboeI, II
English Horn(same player as Oboe II)
Clarinet in A, BbI, II
BassoonI, II
  
Horn in FI, II, III, IV
Trumpet in BbI, II, III
Tenor TromboneI, II
Bass Trombone 
Bass Tuba 
  
Timpani(4 kettles)
Xylophone 
Triangle 
Tambourine 
Suspended Cymbal 
Tam-tam 
Snare Drum 
Cymbals 
Bass Drum 
  
ViolinsI, II
Violas 
Violoncellos 
Contrabasses 

音源:

I. はやての記者天狗
(FLAC)
II. 想い闘え月夜の獅子
(FLAC)
III. 紅いペルソナ
(FLAC)
IV. 幻想郷のためのアダージョ
(FLAC)
V. 境界を超えろ
(FLAC)

楽譜:

スコア譜
パート譜

動画:

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コメント:

「東方管弦組曲 其の参 《二重黒死調》」の改訂版です。特に5曲目を中心に、全面的にオーケストレーションを見直しました。全5曲、演奏時間は26分程度です。

 

1曲目は、東方風神録より「妖怪の山 ~ Mysterious Mountain」です。原曲のイントロを拡張し、メイン部分を2周させたうえでコーダを追加しました。「序奏 - A1 - B1 - C1 - 推移 - A2 - B2 - C2 - C3 - コーダ」という形になっています。

序奏は高弦の最弱奏で始まり、木管によってA部の動機が繰り返されます。A部ではメヌエット風の旋律が提示され、後半ではフルートのオブリガートが加わります。推移的なB部で嬰ヘ短調に転調すると、4拍子のC部となり、新しい旋律が強奏で現れます。序奏の変形による推移の後、イ短調のA部に戻りますが、旋律は反行型で奏されます。B部の後半は拡大されていますが、やはり嬰ヘ短調に転調し、4拍子のC部へ。さらにイ短調でC部が繰り返されてクライマックスとなります。コーダでは序奏やA部を回想し、静かに終わります。

 

2曲目は、東方永夜抄より「エクステンドアッシュ ~ 蓬莱人」です。原曲を適宜省略しつつ2周させ、コーダを追加しました。「序奏1 - A1 - 序奏2 - B1 - 序奏3 - A2 - B2 - A3 - コーダ」としています。

序奏は低弦による保続音から始まり、リズム動機的なパターンが繰り返されます。A部はまずオーボエに旋律が現れ、続いて全奏となります。序奏のリズムパターンによる静かな部分を経て、抒情的なB部へ。後半はホ短調になり、反行型による対旋律も絡んで盛り上がります。ト短調に戻って再び序奏のリズムパターンが出てきた後、A部の旋律がチェロ、フルートと静かに続きます。2度目のB部は変ロ短調の弱奏から始まり、大きなクレッシェンドを形成します。後半はト短調となってなだれ込むように3度目のA部に入ると、B部の旋律も合わさって最強奏となりますが、その後は最弱奏まで落ちて終わります。

 

3曲目は、東方紅魔郷より「妖魔夜行」です。原曲を1周半させ、間奏を挟んで雰囲気をガラッと変えてもう1周、最後にコーダを追加しています。「A1 - B1 - C1 - A2 - B2 - 間奏 - A3 - B3 - C2 - コーダ」といった感じです。

A部は強奏で始まり、シロフォンが印象的なB部に続きます。C部はイ短調ですが明るい雰囲気。ホ短調に戻ってチェロメインのA部、ファゴットによるB部と進むと、打撃音の後に不穏な雰囲気へ。ヘ短調に転調し、テンポを速めて激しい曲調のA部に突入します。重苦しいB部を経て勇壮なC部となり、後半でホ短調に転調してクライマックスを形成。その後は弱奏となってヴィオラが息の長い旋律を歌いますが、これが終わらぬまま、全奏による打撃で断ち切られます。

 

4曲目は、東方風神録より「神々が恋した幻想郷」です。アレンジは原曲1周分のみで、「A1 - B1 - C1 - D1 - A2 - B2 - C2 - D2 - A3 - コーダ」という形式です。全編大幅にテンポを落として演奏され、交響曲における緩徐楽章の位置づけとなっています。

弦楽器の重厚な和音で曲は始まり、弱奏のカデンツで一呼吸置くと、全奏によるト短調のB部となります。一度ここで頂点を形成するとニ短調に戻り、イングリッシュホルンによる歌謡的なC部、2拍3連が主体のD部と続きます。休止のあとに金管コラールが挿入され、2度目のA部が静かに始まります。B部は再びト短調となり、クラリネットの即興的な対旋律が現れます。C部からは行進曲風となり、変ホ短調で息の長いクレッシェンドを形成。3度目のA部で最強奏に至りますが、急速に勢いを減じるとニ短調に戻り、満たされぬままA部の動機を呟いて終わります。

 

5曲目は、東方妖々夢より「ネクロファンタジア」および「幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life」です。アレンジは「ネクロファンタジア」を基本としており、序奏とコーダを追加した上で2周させていますが、途中から「墨染の桜」が入ってきて同時に進行します。「序奏 - A1 - B1 - C1 - D1 - E1 - A2 - B2 - C2 - 墨染 - E2 - E3 - D2」というような形です。前曲からattaccaで演奏することも可能です。

序奏は遅いテンポで始まり、前曲から引き継いだティンパニの遠雷が聞こえる中、ホルンの昏いソロが響きます。木管に引き継がれてカデンツを形成すると、ヴィヴァーチェとなり、嬰ハ短調の強奏でA部が開始されます。陰鬱で調性の不明確なB部、ロ短調ながら牧歌的なC部と続くと、信号と雷撃音が鳴り、イ短調となってメインのD部へ。シンコペーションが印象的なテーマを歌い上げると、嬰ト短調のE部に入り、華麗なヴァイオリンソロが奏されます。

2度目のA部では嬰ハ短調からイ短調となり、さらに転調を繰り返して不穏な雰囲気が続きます。不安定さが頂点に達するとヘ短調となり、「墨染の桜」のテーマが高らかに歌われます。これ以降は2曲が同時に進行するような形となり、変ホ短調、ホ短調と続きます。最後のD部ではイ短調が回帰し、2曲のテーマが合わさって勇壮なクライマックスを形成。主音の打撃によって力強く曲を終わります。

作成:

2024/03/24 改訂開始
2025/01/12 改訂完了
2025/02/04 総譜完成
2025/03/12 パート譜完成

備考:

使用音源:EWQL Symphonic Orchestra
音源加工:Vienna Suite

著作権表示:

原作者:ZUN(上海アリス幻樂団
※ 本作品は東方Projectの二次創作です。
 
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