クラリネット四重奏曲「葦笛吹きて狸ぞ来たる」の弦楽アンサンブル編曲版です。音域の都合でビオラパートが結構忙しくなっています。
原曲は、東方神霊廟より「妖怪裏参道」および「佐渡の二ッ岩」です。それぞれの曲を原曲の流れに沿った形でアレンジし、短い接続部で連結しました。全体としては少しおどけた感じの曲調になっています。
「妖怪裏参道」部分は「イントロ - A1 - B1 - C1 - A2 - B2 - C2 - C3」という形になっています。ファーストが嬰ヘ短調で瞑想的にA部の主題を提示すると、すぐにニ短調となり、スタッカートによる刻みで主題が確保されます。経過句的なB部を経て、まずは嬰ヘ短調でC部が演奏されます。続いて再びニ短調に戻り、音量を落としつつ2回目のA部となります。さらにロ短調に転調して音量を落とすと、続くB部で大きなクレッシェンドを形成し、ホ短調となってC部が回帰します。最後に半音上がり、ヘ短調による強奏でもう一度C部を繰り返すと、カデンツを形成して後半部分に移行します。
「佐渡の二ッ岩」部分は「イントロ - A1 - B1 - A2 - B2 - C1 - C2 - コーダ」となっています。イントロでは変ホ短調で5度跳躍の伴奏型が現われ、それに乗ってA部で部分全体に亘って使用される動機が提示されます。B部ではこの動機を発展させてメロディとしており、動機を元にした対旋律が添えられます。次にA部が繰り返されますが、終わりで転調して、続くB部はホ短調となります。さらにイ短調へと転調し、主要動機から発生した別のメロディが現われてC部となります。一度音量を落としたあと、強奏でもう一度C部を繰り返し、クライマックスを形成します。コーダは5度跳躍の伴奏型を平行4度で重ねていき、最強奏となって終止します。