交響曲「幻想郷世界 II」, Op. 27

楽曲情報:

I. MAESTOSO 変ホ短調 / Eb-Minor / es-moll約15分
II. PRESTO ニ短調 / D-Minor / d-moll約6分半
III. VALSE 変ロ短調 / Bb-Minor / b-moll約12分半
IV. ADAGIO 変ホ短調 / Eb-Minor / es-moll約18分
V. FINALE ロ短調 / B-Minor / h-moll約28分

編成:

FluteI, II
Piccolo 
OboeI, II
English Horn 
Clarinet in BbI, II
Bass Clarinet in Bb 
BassoonI, II
Double Bassoon 
  
Horn in FI, II, III, IV
Trumpet in BbI, II, III
Cornet in Bb(same player as Trumpet III)
Tenor TromboneI, II
Bass Trombone 
Tenor TubaI, II
Bass Tuba 
  
Timpani(4 kettles)
Glockenspiel 
Xylophone 
Tubular Bells 
Triangle 
Tambourine 
Suspended Cymbal 
Tam-tam 
Snare Drum 
Cymbals 
Bass Drum 
  
Celesta 
Harp 
  
ViolinsI, II
Violas 
Violoncellos 
Contrabasses 

音源:

I. MAESTOSO
(FLAC)
II. PRESTO
(FLAC)
III. VALSE
(FLAC)
IV. ADAGIO
(FLAC)
V. FINALE
(FLAC)
全楽章連続版
(FLAC)

楽譜:

スコア譜
パート譜

動画:

お借りしたイラストの掲載元は、以下のファイルに一覧として記載しました。イラストの著作権は全て製作者様に所属します。

動画作成にあたり、友人のしらは氏、yuu115431氏に協力していただきました。ありがとうございます。

コメント:

東方楽曲オーケストラアレンジによるメドレー第二弾です。東方鬼形獣までのタイトルから、前作で使用していないものを選んで100曲つなげました。妖精大戦争以降の作品からの選曲がメインですが、全体の出典としては東方紅魔郷、東方妖々夢、東方花映塚、東方文花帖、東方緋想天、東方星蓮船、ダブルスポイラー、妖精大戦争、東方神霊廟、東方心綺楼、東方輝針城、弾幕アマノジャク、東方深秘録、東方紺珠伝、東方憑依華、東方天空璋、秘封ナイトメアダイアリー、東方鬼形獣となります。原曲の詳しい曲順は、前掲の「イラスト掲載元リスト」をご参照ください。

構成は基本的に前作を踏襲しており、全5楽章が休みなく演奏されます。演奏時間は80分程度です。原曲が次々に変わっていくメドレーの楽しさに気を配りつつも、全体としてひとまとまりになるような構成を心がけました。音楽で綴る幻想郷の世界を楽しんでいただければ幸いです。

 

第1楽章は紺珠伝オープニング「宇宙巫女現る」によるイントロから始まり、いわゆるオーソドックスなメドレーが展開されます。楽章全体としては大きな山がふたつとその谷間の比較的ゆったりした部分、という構成になっています。MAESTOSOの副題通り、堂々とした前向きの音楽を基調としました。

ひとつめの山は「柳の下のデュラハン」で、ここは原始的なオーケストレーションによって原曲の持っている推進力を前面に出した形になりました。小休止的な静かな部分を挟んで、「妖怪裏参道」からは再び前向きの曲調が主体となって徐々にテンションを上げていきます。「アンロケイテッドヘル」ではバイオリンソロの後、正統派な進行で盛り上がりますが、直後の「星条旗のピエロ」ではテンポが一気に早くなり、ホルンのグリッサンドが何度も煽り立てて狂気的なクライマックスに至ります。そして緊張感のある小結尾を経て、第2楽章につながります。

 

第2楽章はPRESTOと題し、超高速かつ終始一定のテンポで駆け抜けるようなアレンジにしました。およそ6分半の演奏時間に30曲が詰め込まれ、原曲を目まぐるしく変えながら突っ走っていきます。

楽章全体は3つの部分に分かれています。ひとつめは「孤独なウェアウルフ」から「セラミックスの杖刀人」までの部分で、ここはイントロ的な形でこの楽章の基調となる雰囲気を提示します。ふたつめの部分は「年中夢中の好奇心」から、大幅に音量を落として始まります。"#" をひとつずつ落としながら12曲で12の調をぐるっと一周、徐々に雰囲気を盛り上げていき、「パンデモニックプラネット」に至ります。空中に放り出されたような一瞬の空隙を経て「アンノウンX ~ Occultly Madness」に入り、後半は比較的明るい曲調となって頂点を形成します。その後の「桜色の海を泳いで」は経過句的な扱いであり、「魔力の雷雲」からが第3の部分になります。ここも12曲で12の調を一周しますが、今度はキーを半音ずつ上げていく形で転調していきます。その動きを引き継ぐ形で終曲の「聖徳太子のペガサス ~ Dark Pegasus」に入り、更に半音上に転調してクライマックスを形成します。

 

第3楽章は第2楽章の終了と同時に間髪を入れずに始まります。VALSEと題され、3拍子を基調としたこの楽章は、テンポを落とした中間部を挟んで3つの部分からなります。前2つの楽章と比較して、全体的にはやや落ち着いた雰囲気の曲調となっています。

「宇宙を飛ぶ不思議な巫女」から「トータスドラゴン ~ 幸運と不運」までの第1部は、ワルツのリズムの上で再びオーソドックスなメドレーが展開されます。少し時代を遡る感じで仕立てられたオーケストレーションが、古風な雰囲気を醸し出します。中間部は「妖怪寺」から、瞑想的な曲調で始まります。少しずつ音量を上げながら進んでいくと、「花の映る塚」で前作の第1楽章冒頭を連想させるような雰囲気となり、一度頂点を形成します。「幻想のホワイトトラベラー」から始まる第3部は、4拍子の原曲を3拍子化したアレンジが主体となります。徐々に盛り上がりながら進んでいきますが、「空中に沈む輝針城」では一旦その流れを断ち切って沈鬱な表情が現れます。終曲の「リバースイデオロギー」は豪奢なワルツであり、曲中でどんどんテンションを上げてクライマックスに至ります。弦楽器から始まる小結尾ではそれを回想しつつ落ち着いた雰囲気となり、第4楽章に入ります。

 

第4楽章は一番原曲を「原曲らしくなく」料理している部分です。ADAGIOの副題の通り、全編大幅にテンポを落として演奏され、またほとんどの部分で複数の原曲が同時に絡みあう形で進行します。いわゆるマッシュアップの楽章ですが、テンポが遅いことで独特の雰囲気を出しています。

この楽章に明確な構成はなく、マッシュアップの曲目ごとに8つのエピソードが展開されます。孤独な冒頭からあたたかな全奏が導かれる「紅魔館」のエピソード、重厚な弦楽器が悲壮な雰囲気を演出する「ダブルスポイラー」のエピソード、チェレスタが怪しく響く「マヨヒガ」のエピソード、明るく楽しげな「三妖精」のエピソード、4声の3重カノンが複雑に絡み合いながら満たされない頂点を形成する「不死」のエピソード、シロフォンが寂しく鳴り続ける「地上と月の兎」のエピソード、葬送行進曲から始まり勇壮なクライマックスに至る「後戸の国」のエピソード。以上7つのエピソードが終わると「不思議なお祓い棒」による牧歌的な雰囲気となりますが、終結部で「反則の狼煙を上げろ」が不穏に囁きかけ、最終楽章へと進行します。

 

第5楽章はFINALEの名に相応しいラスボス曲を中心としたアレンジです。いわゆるボスラッシュですが、この楽章だけで演奏時間28分と多くの時間を費やしており、名原曲たちをじっくり堪能できる形になりました。曲自体はオーソドックスなメドレー風に戻りますが、一曲一曲のドラマ性を重視したアレンジとなっています。

楽章全体は4つの部分とコーダ、という構成になっています。まずは前の楽章で予告した「輝く針の小人族 ~ Little Princess」から、第1部が始まります。前半はやや抑えた盛り上げ方ですが、「豪族乱舞」の終わりから「ピュアヒューリーズ ~ 心の在処」にかけて激しいテンションとなります。「ラストオカルティズム ~ 現し世の秘術師」からの第2部は経過句的な性格で、単純なオーケストレーションの上に比較的静かな音楽が展開します。「今宵は飄逸なエゴイスト (Live ver) ~ Egoistic Flowers.」の弦楽四重奏による切なげなエピソードを経て、「メイガスナイト」から第3部となります。ここでは2つのマッシュアップエピソードが挿入され、奥深い盛り上がりを形成します。「秘神マターラ ~ Hidden Star in All Seasons」で頂点を形成すると音楽は次第に墜落していき、四分音も交えた陰鬱なカデンツで全休止。続く第4部は「エレクトリックヘリテージ」から静かに始まり、緊張感を極限まで高めた後、ラストの「偶像に世界を委ねて ~ Idoratrize World」で一気に開放して最高潮を迎えます。

メドレーの最後には長大なコーダが付されています。オープニングの「宇宙巫女現る」を回想する形で始まり、その動機を繰り返すコラールの中でラスボスのテーマが作品順に次々と演奏されます。コラールは大きなクレッシェンドを形成し、最後には「偶像に世界を委ねて ~ Idoratrize World」の変型動機が現れて圧倒的なクライマックスを形成、全曲を終えます。

作成:

2019/08/19 作成開始
2019/11/17 I. MAESTOSO 完成
2020/05/16 II. PRESTO 完成
2020/08/16 III. VALSE 完成
2020/12/15 IV. ADAGIO 完成
2021/08/14 V. FINALE 完成
2021/12/30 総譜完成
2022/04/24 パート譜完成

初演:

2024/02/25 幻想郷交響楽団 演奏会2024

備考:

使用音源:EWQL Symphonic Orchestra、Garritan Instruments for Finale、
     Epic Orchestra 2.0
音源加工:Vienna Suite

著作権表示:

原作者:ZUN(上海アリス幻樂団
※ 本作品は東方Projectの二次創作です。
 
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